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2024/06/24 01:07

La tombe de Baudelaire. encore

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シャルルドゴール空港からモンパルナスのホテルに着いたのが午前11時頃。チェックインまで約3時間、仕事は夕方となれば僕の行く先は決まっています。鹿児島空港からずっと一緒だった地総研の古田さんはルーブルに予約しているとのことで、彼女とはそこで別れ、僕が向かったのはボードレールの墓があるモンパルナスの墓地、ホテルからその灰色の塀が見えます。文字通り目と鼻の先です。
一月に来た時には場所がわからず右往左往しましたが、今回は門を潜るや一直線に墓へ向かいます。立派な墓標が立ち並ぶ中にぽつんと佇む小さな墓です。
別に墓参りのつもりはないので、手を合わせるでもなくしばらく墓標に見入っていると、それだけで心が落ち着き安らいできます。
ふと、一月に来た時に名刺を墓前に置いてきたことを思い出しました。もちろん今は影も形もありません。一雨きただけでもうおしまいのはずです。儚い、人間も同じだな…などと思いながらまた新しい名刺を置きました。センチメンタルな想いに自嘲が沸き上がってきます。

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まだ十分に時間があるので、若いころお世話になった人々の墓を探してみることにしました。

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ギィ・ド・モーパッサンの墓です。
「モオパスサンは氷に似ている。 尤も時には氷砂糖にも似ている。」侏儒の言葉に出てくる芥川龍之介のモーパッサン評ですが、僕にとってはフローベルやゾラに比べれば氷どころか砂糖そのものでした。愛した作家です。

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これはジャン・ポール・サルトルとシモーヌ・ド・ボーボワールの墓。相変わらずの人気で墓前には人が絶えません。僕はサルトルがあまり得意ではなく、特に「ボードレール」論は今でも全く受け入れることはできません。小説家としてもどちらかというとアルベール・カミュの方に共鳴を覚えます。しかし彼は僕の大学生時代は実存主義の大御所で世界のオピニオンリーダーでした。今、墓前に集う人々は女性たちのボーボワール信奉者が多いのではないでしょうか。

さて、そろそろホテルに帰って仕事の準備をしましょう。