20%OFF COUPON

2024/06/24 00:41

20230320image002.jpg

九州経済産業局国際部国際企画調査課の山本様より、3月3日宮崎市内のホテルで開催される「九州本格焼酎蔵元とクラマスターの交流会~フランスパリのトップソムリエ・バーテン達との意見交換および本格焼酎のテイスティング~」と銘打ったイベントのご案内をいただいたのが今年1月16日のこと。
フランスにおける和酒のコンペとして有名なあの「クラマスター」の審査員たちの中から、
①クリストフ・ダヴォワンヌ氏 Kura Master 本格焼酎・泡盛部⾨審査委員⻑
②アンジェロ・ロッシ氏 La Scott で⾦賞を受賞した2020年最優秀バーマン
③ダヴィド・ベルナール氏 ⽇本⾷レストランAzukiのマネージャー
④ベルティュ・ロート氏 Toulouse Sake Clubの設⽴者。
⑤ローラン・アギャー氏 モンペリエのG.Freche 職業⾼校のバー科教師
⑥ピエール・ルジョンティル氏 ホテル・クリヨンのバーの第⼀バーマン
⑦パズ・ルバンソン氏 Kura Master 審査委員会副委員⻑
⑧エレーヌ・ビネ氏 料理業界専⾨のジャーナリスト
⑨宮川圭一郎氏 GALERIE K PARIS代表 Kura Master運営委員⻑
⑩ペコン倫子氏 有限会社Freeman France代表 Kura Master企画渉外ディレクター
⑪髙馬真理子氏 Kura Masterプロジェクト・マネージャー
と錚々たる顔ぶれが参加、千載一遇のチャンスです。リアル参加の定員が50名、すぐに申し込みましたが、多分抽選になるかもと思いました。何しろ自慢じゃありませんが子供の時からムチャクチャくじ運が悪い僕です。無理かなと思いつつ23日から渡仏し、帰って見たら参加決定の通知が来ておりました。狂喜でした。
さて、迎えた当日まず宮川圭一郎氏による大変興味深い講演があり、特に最近ソムリエによる蒸留酒と食事を合わせるという提案がなされ始めていること、高濃度酒から低濃度酒への移行が顕著であり、カクテルベースに使う蒸留酒さえも今後は25度がメインになってゆくであろうということ等の話は、今後の本格焼酎の展開に対する大きな可能性を示唆しているものに思われました。
次に意見交換会となり、僕も手を挙げて発言しようとしたのですが、その時すでに時間がないということで却下されてしまいます。
しかし続く国税局からの発表の最後に「最近渡仏された六調子酒造の池辺社長からフランスにおける現状報告を…」と、話を振っていただきました。実は熊本国税局の岩田酒類監理官から、事前に話をいただいていたのでした。
僕が話した内容は次の通り、
1. 取引先からの情報
「本格焼酎はコンペやイベントの時は一時的には盛り上がるが、普段はほとんど見向きもされないし、知名度もほとんどない。」
2.バー&レストランにおける、本格焼酎及び和酒の状況
モンマルトル、カルチェラタンなどのバーでも扱っているところは見当たらなかった。
3. デパートの酒売り場における、本格焼酎及び和酒の状況
オスマンのギャルリーラファイエット、プランタンともに本格焼酎の取り扱いは無し。
シャンゼリゼのギャルリーラファイエットも同様で、ジャパニーズウイスキーと沖縄のラムが並んでいるだけであった。
4.ブランディングにおける課題として樽貯蔵酒の着色度の制限撤廃が見送られた件
特に僕が話したかったのは、「樽貯蔵酒の着色度制限の件」でした。これはなぜか長年業界でも話すことさえタブー視される雰囲気がありました。
「ウイスキーやラムを出せばてっとり早くビジネスになります。それらはもう世界的にブランディングができているわけですから。でも、それでは本格焼酎のブランディングは遠のくばかりです。今後も着色度制限の撤廃に声を上げてゆくつもりです。」
僕の発言に対して、パズ・ルバンソンさんが、
「樽の香りをつけることはせっかくの芋の持つ香りを損ない、原料特性を失わせます。私達は評価できません。」というご意見。
僕はただちに反論します。
「芋焼酎はもともと貯蔵熟成させるよりもむしろ新酒のフレッシュな原料特性を楽しむものです。しかし、米、麦などの穀物系原料は樽熟成させることでさらに原料特性に磨きがかかるのです。
本格焼酎の樽貯蔵は1950年代より行われており、それなりの歴史をもっています。すでに日本国内では十分に認知されている存在です。」
一応、納得はしていただいたもののなんとなくギクシャクした雰囲気は否めず、ちょっと後味の悪い幕切れとなりました。ただ、宮川さんだけは賛同して下さったのは救いでした。
さて、いよいよテイスティングの時間になりました。
僕は第一班に振り分けられ、クリストフ・ダヴォワンヌさんが弊社の「大古酒とろしかや」のテイスティングをして下さいました。

20230320image004.jpg
Kura Master 審査委員⻑クリストフ・ダヴォワンヌさんとペコン倫子さん

「香味ともにフルーティでかつ深い熟成感があり、複雑な味わいがとても素晴らしい。
でも、このようにじっくりと時間をかけて利酒しないといけないタイプの酒は、一度にたくさんの利き酒しなければならないコンペなどでは多少不利かもしれません。」
とのご意見でした。大変ありがたいコメントです。今日来た甲斐があったと思いました。
ただ気になったのは、先ほどのルバンソンさんのお話なども考え合わせるとフランスでは、クラマスターにおいてさえ樽貯蔵酒の認知度は低いのかなということです。
本格焼酎は白物(透明な酒)で原料は基本的に芋という考え方が既成概念化しようとしているのでは…とちょっと心配になりました。
今度はルバンソンさんにテイスティングしていただこうと思ったのですが、あまりにもたくさんの蔵元が順番待ちをしており、ダヴォワンヌさんのカクテルの実演が始まったのでそちらを見学することにしました。(決して意識的に避けたわけではありません。)

20230320image006.jpg
神業的名人芸を披露するダヴォワンヌさん

時間が経ち終わりにさしかかった頃、九州経済産業局の山本さんが「ルバンソンさんが大古酒とろしかやをテイスティングしたいと仰っています。」と。
願ってもないこと、早速ルバンソンさんのテーブルに赴き、テイスティングしていただきました。
「すばらしいと思います。色を抜く前のものも味わってみたかったです。」とありがたいお言葉。解っていただいたと思い心から嬉しく思いました。

20230320image008.jpg
チャーミングなルバンソンさんと「大古酒とろしかや」のツーショット

この後懇親会があり、隣の席のペコン倫子さんと親しくお話をさせていただき、フランスの酒事情について貴重な情報をいただきました。
閉会となり、お世話になった方々にお礼の挨拶をし、ルバンソンさんにも「さようなら、またお会いしましょう。」とお声掛けすると、何のわだかまりもなく同じ言葉を返してくださいました。短い時間でしたがとても充実した会合でした。